調査研究報告 第43号(令和元年12月)
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- 4301 元素分析によるネギの原産地判別マニュアルの検証(PDF:1.2MB)
元素分析によるネギの原産地判別において、主にNaの濃度分布が過去の開発時に使用した試料と検査試料で異なっており、その影響で誤判別を引き起こしている可能性があると考えられたため、その原因を確認した。その結果、標本抽出におけるかたより(選択バイアス)である可能性が高いと判明した。選択バイアスが発生している条件下における判別モデルの修正方法として半教師付き分類と教師付き分類の組合せを採用し、過去の開発時に使用した試料及び検査試料の両方に対して適切に判別できる判別モデルを構築した。
- 4302 サトイモの原産地判別法の開発(PDF:609KB)
平成22年に開発した元素分析によるサトイモ原産地判別法の判別精度の向上のために、元素分析に加え、軽元素(炭素及び酸素)安定同位体比分析及びストロンチウム安定同位体比(87Sr/86Sr、以下「Sr安定同位体比」という。)分析を対象に、各分析法単独又は組合せによる産地判別の精度向上の可能性について検討を実施した。各分析法単独での判別精度は低く、産地判別は困難であるが、元素分析とSr安定同位体比分析等、複数の分析法を組み合わせることで、判別精度を向上させることが可能となった。
- 4303 元素分析及びストロンチウム安定同位体比分析によるオクラの原産地判別検査法の開発(PDF:698KB)
生鮮オクラの原産地判別法の検討を元素分析及びストロンチウム安定同位体比(87Sr/86Sr、以下「Sr安定同位体比」という。)分析により行った。国産のオクラ63試料及び外国産のオクラ81試料(フィリピン産45試料、タイ産36試料)を収集し、17元素の濃度及びSr安定同位体比を測定した。国産と外国産の判別モデルを元素濃度とSr安定同位体比を用いて構築した。偽陽性率(国産品を誤って陽性と判別する確率)が最小となる値を基準値とした場合の判別的中率は、元素濃度による判別モデルでは国産100 %、外国産67.9 %であった。元素濃度とSr安定同位体比を組み合わせた判別モデルでは国産100 %、外国産88.9 %となり、元素濃度単独で構築した判別モデルと比較して判別精度が向上する結果が得られた。
- 4304 新たな統計解析手法による原産地・原料原産地判別マニュアルの見直し(PDF:782KB)
農林水産消費安全技術センターにおいて食品の原産地判別のために線形的な判別モデルを採用している6品目について、過去のデータを活用して非線形の判別モデルの採用を検討し、再解析を実施した。その結果、一部の品目について判別能力の向上した判別モデルや検査コストを削減し得る判別モデルが得られた。
- 4305 DNA分析における分析時間短縮についての検討(PDF:905KB)
魚種判別法等のDNA分析については、DNA抽出、PCR、制限酵素処理、電気泳動、DNAシークエンス法による判別など、複数の工程があるが、今回、マグロ属の魚種判別法を対象に、複数工程を通した迅速化の検討を行ったところ、一連の工程を合わせて分析時間を50 %程度削減することが可能であった。