「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令の規定に基づく動物由来たん白質及び動物性油脂の農林水産大臣の確認手続について」の一部改正について
22消安第10392号
平成23年4月15日
農林水産省消費・安全局長
「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令の規定に基づく動物由来たん白質及び動物性油脂の農林水産大臣の確認手続について」の一部改正について
動物由来たん白質の飼料利用については、BSEの発生防止の観点から、飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令(昭和51年農林省令第35号)に基づき、豚、家きん又は魚介類由来のたん白質以外の動物由来たん白質の製造工程と完全に分離された工程において製造(以下「分離製造」という。)されたことについて農林水産大臣の確認(以下「大臣確認」という。)を受けたものに限り、豚、鶏、うずら又は養殖水産動物の飼料として利用することが認められています。
大臣確認については、「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令の規定に基づく動物由来たん白質及び動物性油脂の農林水産大臣の確認手続について」(平成17年3月11日付け16消安第9574号農林水産省消費・安全局長通知。以下「確認通知」という。)において、大臣確認を受けるための製造基準や具体的な手続を定めています。
今般、BSEの発生防止を図りつつ、未利用の畜産副産物の有効利用を図るため、①豚エキス工場、豚・家きん共用カット場、鶏卵を含む魚すり身工場等、②処理工程は分離されているが、作業員の更衣室等が共用のため、作業員の靴等を介した交差汚染の懸念から、利用再開されていない牛・豚共用のと畜場について、条件を定め、飼料利用を再開することとします。
ついては、確認通知を別紙のとおり改正したので、御了知の上、貴会傘下の会員に対して周知をお願いします。
なお、本通知の改正要旨、改正に伴う大臣確認の具体的な手続に関する留意事項は下記のとおりであるので、併せて周知をお願いします。
記
第1 改正の経緯
動物由来たん白質の飼料利用については、BSEの発生防止の観点から、分離製造が確実に遵守され、飼料の安全確保が図られるよう、これまで、原料となる内臓や肉等の搬出先を、と畜場並びに枝肉及び豚の頭部等の可食部位を取り扱うカット場並びに食鳥処理場及び家きんを専門に処理するカット場・ミンチ・エキス工場の畜産副産物に限定して、大臣確認を行うこととしてきたところです。
今般、対象となる製造業者の大臣確認の手続がほぼ終了しましたが、これまでの間、反すう動物由来の肉骨粉等が反すう動物に給与されるなどの不適切な事例は認められていない状況にあります。
このため次の段階として、
① 豚エキス工場、豚・家きん共用カット場等、鶏卵を含む魚すり身工場等、
② 処理工程は分離されているが、作業員の更衣室等が共用のため、作業員の靴等を介した交差汚染の懸念から、利用再開されていない牛・豚共用のと畜場
の調査を行ったところ、
①については、分別管理基準を満たしていること
②については、長靴等の洗浄、残さを床に置かずに処理するなど、豚残さに牛の成分が混入しない対策を講じていること
を条件とすれば、これらの事業場の畜水産副産物の飼料利用が可能であることが明らかとなりました。このため、条件を定め、飼料利用を再開することとしました。
第2 改正の要旨
1 豚原料の収集先の追加
肉骨粉等の原料とする豚に由来する副産物(以下「豚原料」という。)の収集先として、
① 豚のと畜から枝肉になるまでの豚原料が排出される全ての豚処理工程を豚以外の家畜を処理する工程と壁で仕切る等が困難なと畜場であって、豚原料が排出される一部の豚処理工程について、壁で仕切る等の混入防止対策を施して混入防止区域とし、当該区域の作業員の靴等の洗浄や豚原料を床に置かずに処理するなどの措置が講じられたと畜場
② 豚の枝肉以外の可食部位(骨)を取り扱うカット場等
を追加(従前は、全ての豚処理工程が分別管理基準を満たすと畜場及び豚の枝肉又は枝肉以外の可食部(頭部、足部及び内臓)のみを取り扱うカット場並びに豚を飼養する農場のみ)。
(確認通知別添3-2)
2 魚介類原料の収集先の追加
魚介類原料の収集先として、鶏卵を含む魚介類のすり身を取り扱う事業場を追加(従前は、魚介類のみを分別して取り扱う事業場のみ)。
(確認通知別添7)
3 原料混合肉骨粉等の原料収集先の追加
原料混合肉骨粉等の原料収集先として、豚・家きん共用カット場等を追加(従前は、豚又は家きんのみを取り扱うカット場等のみ)。
(確認通知別添6-1及び6-2)
4 その他
(1) 肉骨粉等の製造・品質管理者の業務の追加
肉骨粉等の製造・品質管理者の業務として、原料の受入れから製品の輸送までの業務に係る管理基準及び作業手順の整備を追加。
(確認通知別添2、3-1、4、5、6-1及び8-1)
(2) 手続きの見直し
別記様式第2-1号による製造業者に係る確認書を廃止し、確認簿に記載するとともに、ホームページに掲載する方法に改正。
(確認通知記の第1の2及び同3並びに別記様式第2-1号及び第6号)
第3 留意事項
1 新たに追加した豚原料の収集先の要件
(1) 豚処理工程の一部を混入防止区域とすると畜場
ア 以下の要件を備える豚処理工程を混入防止区域に設定するものとする。
① 豚処理工程(豚原料専用容器置き場を含む。以下同じ。)は、豚以外の家畜を処理する工程と壁で仕切る等の対策が講じられていること。
② 当該豚処理工程は、豚以外の家畜等を処理する作業員が立ち入らないこと。
③ 当該豚処理工程は、排出される豚原料がエアーシューター等を介して豚原料専用容器に直接投入されるなどの混入防止対策が講じられること。
④ 当該豚処理工程は、豚の作業員が立ち入る際の作業着や靴等を洗浄する等の混入防止対策が講じられていること。
イ 豚処理工程の一部を混入防止区域とすると畜場は、豚原料と豚原料以外の豚の副産物が排出され、豚原料の分別に係る作業が繁雑なことから、混入防止区域の範囲、作業員の通行路、豚原料と豚原料以外の豚の残さの分別、作業着や靴等の洗浄などについて、詳細な作業マニュアルを作成し、作業員の教育訓練を定期的に実施して、混入防止対策を徹底すること。
(2) 豚の枝肉以外の可食部位(骨)を取り扱うカット場等
カット場等は、豚肉のカット、ミンチ、豚エキスの抽出等を行う食品工場のみとする。
豚の枝肉以外の可食部位は、確認通知別添3-2の1の(1)の要件を満たすと畜場又は同(2)の要件を満たすカット場等からのものであることとする。
2 新たに追加した魚介類原料の収集先の要件
(1) 収集先の対象範囲
収集先は、魚介類のみを分別して取り扱う事業場であって、鶏卵を含む魚介類のすり身を取り扱う食品工場のみとする。
(2) 収集先との契約
製造業者(鶏卵を含む魚介類のすり身を取り扱う事業場から原料を収集する者)は、鶏卵を含む魚介類のすり身を取り扱う事業場等原料収集に関わる者と、以下のア及びイを内容とする契約を締結するものとする。
ア 鶏卵を含む魚介類のすり身を取り扱う事業場等は、魚介類のみを分別して取り扱うこと。
イ 鶏卵を含む魚介類のすり身を取り扱う事業場等は、契約を締結した魚粉等の製造業者が契約内容の実施状況を確認することを認めること。また、当該実施状況の確認のために農林水産省の職員又は独立行政法人農林水産消費安全技術センター(以下「センター」という。)の職員が当該製造業者に同行できることを認めること。
3 新たに追加した原料混合肉骨粉等の原料収集先の要件
新たに追加した豚・家きん共用カット場等は、豚肉等又は家きん肉等のカット、ミンチ、エキスの抽出等を行う食品工場のみとする。
豚の枝肉以外の可食部位は、確認通知別添3-2の1の(1)の要件を満たすと畜場又は同(2)の要件を満たすカット場等からのものであることとする。
4 肉骨粉等の製造・品質管理者の業務の追加
肉骨粉等の製造・品質管理者の業務については、
① 本改正による収集先の追加に伴い、肉骨粉等製造業者の原料の受入れに係る作業が繁雑となること、
② 最近において原料の取扱いの不備により豚肉骨粉等に牛の成分が混入する事例が認められたこと
に鑑み、肉骨粉等の製造・品質管理により万全を期すため、原料の受入れから製品の輸送までの業務に係る管理基準及び作業手順の整備を追加したものである。なお、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和28年法律第35号)第57条に基づくセンターによる立入検査等に際しては、この管理基準及び作業手順を基に管理状況を実地に検査することとする。
5 確認手続
(1) 申請書等の添付書類
魚介類たん白質であって、鶏卵を含む魚介類のすり身を取り扱う事業場から原料を収集して製造する場合は、確認通知別記様式第1-1号及び第6号に、以下の①から③までを添付するものとする。なお、①及び②の原料収集先は、鶏卵を含む魚介類のすり身を取り扱う事業場に限るものとする。
① 原料収集先の一覧表
② 原料収集先と締結した契約書の写し
③ 製造工程の図面
(2) 契約の締結を要する原料収集先の調査
今回、新たに追加した原料の収集先については、地方農政局(北海道にあっては北海道農政事務所、沖縄県にあっては内閣府沖縄総合事務局。以下同じ。)が契約を締結した製造業者が行う原料収集先の契約遵守状況の確認に同行する。地方農政局は、契約が遵守され、製造業者による確認が適切に行われていること等を確認するものとする。
(3) 確認手続の見直し
申請者による確認手続の事務負担の軽減等の観点から、改正前の別記様式第2-1号による製造業者に係る確認書及び同第6号の書換手続を廃止したものである。なお、別記様式第2-2号による輸入に係る事業場の確認書は従前のとおりであるが、改正前の別記様式第6号による確認書の書換手続を廃止したことに伴い、今後、確認申請を行った内容を変更する場合は、別記様式第6号により届け出るものとする。
第4 施行期日
この改正通知は、平成23年4月15日から施行することとする。