飼料等検査実施要領の制定について
52畜B第 793号
昭和52年 5月10日
昭和52年 5月10日
農林水産省消費・安全局長
飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律第21条第1項及び第2項並びに第21条の2第1項に基づき行う飼料等の検査の実施について、その具体的方法等につき別紙のとおり「飼料等検査実施要領」を定めたので、御了知の上、今後における検査業務の適正かつ円滑な実施につき万全を期されたい。
(別紙)
飼料等検査実施要領
第1 趣旨
飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和28年法律第35号。以下「法」という。)第56条第1項及び第2項並びに第57条第1項の規定に基づく、立入検査並びに飼料若しくは飼料添加物又はこれらの原料(以下「飼料等」という。)の収去及び試験は、この要領の定めるところにより行うものとする。
第2 飼料又は飼料添加物の製造工場等における立入検査
1 製造及び保存に関する検査
法第3条第1項の規定により定められている飼料等の成分規格並びに製造及び保存の方法の基準の遵守状況を関係書類等により検査するとともに、製造、保管及び品質管理のため施設について検査する。
2 飼料製造管理者に関する検査
法第25条の規定に基づき、設置されている飼料製造管理者の設置状況及び飼料等の製造管理状況について検査する。
3 表示に関する検査
次の表示に関し、その記載内容及び表示の方法等について検査する。
(1)法第3条第1項の規定に基づく飼料等の成分規格等に関する一般表示
(2)法第32条第1項の規定に基づく飼料の品質につき表示すべき事項
(3)法第5条第1項、法第16条第1項及び法第21条第2項の規定に基づく特定飼料等の検定に合格したこと等を示す特別な表示
(4)法第27条第1項、法第29条第2項及び法第30条第2項の規定に基づく公定規格に適合していること等を示す規格適合表示
(5)その他(3)又は(4)の表示と紛らわしい表示
4 その他の検査
1から3までに掲げる検査以外の検査であって、法の施行に必要な限度において行う必要がある事項について検査する。
5 飼料等の品質の鑑定
立入検査場所における飼料等の鑑定は、(1)の感覚による鑑定方法を主体とし、適宜(2)の物理的方法を併用して行うものとする。
(1)感覚による鑑定
視覚、臭覚及び味覚により飼料等の形状、色、光沢、におい及び味の検査又は手及び指による触感等から、その新鮮度、交雑物の有無、かびの発生、又は昆虫、だに等の有無及び品温の異常等を鑑定する。
(2)物理的方法による鑑定
種々の大きさのふるい目をもつ組立ふるい(例えば、0.5mm、1mm、2mm目等)を用いて粒度別にし、その各部位について(1)の感覚による鑑定を行う。ただし、微細なかび等を識別するためには、拡大鏡を利用して行う。
6 飼料等の収去
飼料等の安全性又は品質を確認する場合その他検査上必要と認められる場合は、当該飼料等を収去し、持ち帰り、試験を実施するものとする。この場合において、飼料等の収去及び保管は、別記により行うものとし、また、試料が検査対象荷口を代表するものとなるよう慎重に抽出、採取、混合、縮分等を行うものとする。また、風選により夾雑物を検出するものとする。
第3 センターにおける試験
センターで行う試験は、次に掲げる方法により遅滞なく速やかに行うものとする。なお、次のいずれにも試験方法が規定されていないものについては、精度及び正確さがこれらと同等であると認められる方法により行うものとする。
1 昭和51年7月24日農林省告示第757号(飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律施行規則の規定に基づき検定の方法を定める件)第2の6に規定する検査方法
2 飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令(昭和51年農林省令第35号)に規定する試験法等
3 「飼料分析基準」(令和5年12月1日付け5消安第4714号農林水産省消費・安全局長通知)に規定する分析方法及び鑑定方法
飼料等の収去等の方法
Ⅰ 飼料等の収去方法
1 配混合飼料等
(1)検査対象
検査対象の大きさは、原則として次のとおりとする。ただし、安全性の確保のための検査で、1回に消費者に渡る量が小口の場合、製造荷口又は販売荷口の大きさが次に規定する量より小さい場合等においては、必要に応じて検査対象を縮小することができる。
ア 包装した飼料
(ア)紙袋で包装したものにあっては、おおむね50袋以上1,000袋以下の同一製造荷口とする。同一製造荷口が判別できない場合は、50袋以上300袋以下とする。
(イ)大型輸送容器(内容量が200キログラム以上のものをいう。以下1において同じ。)に詰めたものにあっては、おおむね2個以上5個以下の同一製造荷口とする。同一製造荷口が判別できない場合は、2個又は3個とする。
イ 無包装の飼料
(ア)バラ積輸送車に積み込まれたものは、その積載量とする。
(イ)「ホキ」車内のものは、おおむね3トンとする。
(ウ)船舶内のものは、船槽(ハッチ)内の全量とする。
(エ)上記以外のものは、おおむね1トン以上20トン以下の同一製造荷口とする。同一製造荷口が判別できない場合は、1トン以上6トン以下とする。ただし、単体飼料については、主原料にあっては100トン以上1,000トン以下、副原料にあっては10トン以上100トン以下とする。
(2)抽出個数又は箇所数
抽出個数又は箇所数は、原則として次のとおりとする。なお、(1)のただし書は、この場合について準用する。
ア 包装した飼料
(ア)紙袋で包装した飼料
(1)のアの(ア)による検査対象から、無作為に次の表に掲げる数の袋を抽出する。ただし、検査対象飼料の最大粒径が15ミリメートル以上(ペレットを含む飼料にあってはぺレットの直径10ミリメートル以上)の場合は、抽出袋数を当該数の2倍とし、また、微生物試験用の場合は、検査対象飼料の最大粒径にかかわらず3袋とする。
検査対象の大きさ | 抽出袋数 |
---|---|
100袋未満 | 4袋 |
100袋以上 | 5袋 |
(イ)大型輸送容器に詰めた飼料
(1)のアの(イ)による検査対象から無作為に2個を抽出する。ただし、微生物試験用の場合は、1個とする。
イ 無包装の飼料
(ア)タンク内又はサイロ内の単体飼料
タンク又はサイロを上層、中層及び下層に3等分し、各層からそれぞれ1箇所ずつ計3箇所を選ぶ。この場合において、当該箇所の量は、主原料にあっては10トン以上15トン以下、副原料にあっては1トン以上1.5トン以下とする。
(イ)その他の飼料
(1)のイによる検査対象から無作為に選んだ5箇所とする。ただし、検査対象飼料の最大粒径が15ミリメートル以上(ペレットを含む飼料にあってはぺレットの直径10ミリメートル以上)の場合は10箇所、微生物試験用の場合は、検査対象飼料の最大粒径にかかわらず3箇所とする。
(3)試料の採取方法
試料の採取方法は、次のとおりとする。ただし、次に規定する方法と同等の精度が得られる場合は、1次試料の採取については、オートサンプラー等を用いることができる。
ア 包装した飼料
(ア)微生物試験用の飼料
容器を開き内容物を試料採取用スコップでよくかき混ぜた後、各容器から2スコップ(大型輸送容器に詰めたものにあっては6スコップ)以上の試料をほぼ等量ずつ2個の試料収納容器に直接採取し、各250グラム以上500グラム以下の試験用試料及び保管用試料を調製する。
なお、試料採取用スコップ等は、あらかじめエタノール等で消毒するとともに、試料収納容器は、滅菌したものを用いる。
(イ)(ア)以外の飼料であってペレット状の飼料等品質が比較的均一であると考えられるもの
容器を開き内容物をよくかき混ぜた後、試料採取用スコップで各容器から3スコップ(大型輸送容器に詰めたものにあっては6スコップ)以上の試料をほぼ等量ずつ採取して併せて5キログラム以上とし、これを1次試料とする。
ただし、液状飼料の場合は、1次試料の量を3キログラム以上とする。
(ウ)(ア)及び(イ)以外の飼料であって紙袋で包装したもの
各容器の内容物全量を親試料とし、これをクラフト紙等の上に移して混合した後、12区画以上20区画以下に区分し、次の表に掲げるインクリメント採取用スコップで各区画から1スコップずつ試料を採取するとともに、各親試料から同様に採取した試料と併せて5キログラム以上とし、これを1次試料とする。
ただし、検査対象飼料の最大粒径が15ミリメートル以上(ぺレットを含む飼料にあってはぺレットの直径10ミリメートル以上)の場合は、任意の2つの容器の内容物全量を親試料とするとともに、JIS,No.20のインクリメント採取用スコップを用いる場合にあってはそれぞれの親試料を7 区画以上( 計35区画以上), JIS,No.30のインクリメント採取用スコップを用いる場合にあってはそれぞれの親試料を6 区画以上( 計30区画以上) となるように区分する。各区画から1 スコップずつ採取して6 キログラム以上とし, これを1 次試料とする。
最大粒径 | インクリメント採取用スコップ |
---|---|
10ミリメートル以下 | JIS,No10 |
15ミリメートル以下 | JIS,No15 |
20ミリメートル以下 | JIS,No20 |
30ミリメートル以下 | JIS,No30 |
(エ)(ア)及び(イ)以外の飼料であって大型輸送容器に詰めたもの
容器ごとに内容物全量をシート等の上に流下又は堆積させ、流下物又は堆積物の任意の2、3箇所から1箇所につき5キログラム以上の試料を採取し、各箇所から採取した試料を親試料として(ウ)に準じた方法により5キログラム以上とし、これを1次試料とする。
ただし、検査対象飼料の最大粒径が15ミリメートル以上(ぺレットを含む飼料にあってはパレットの直径10ミリメートル以上)の場合は、流下物又は堆積物のそれぞれ任意の5箇所、計10箇所のうちの任意の2箇所から採取した試料を親試料とするとともに、(ウ)のただし書に規定する方法に準じて試料を採取して6キログラム以上とし、これを1次試料とする。
イ 無包装の飼料
(ア)微生物試験用の飼料
(2)のイの(イ)により抽出した3箇所からアの(ア)に準じた方法により試料を採取し、各250グラム以上500グラム以下の試験用試料及び保管用試料を調製する。
(イ)(ア)以外の飼料であってタンク内又はサイロ内の単体飼料
搬入又は搬出時に、(2)のイの(ア)により抽出した3箇所をそれぞれ5区画に区分し、JIS、No.50のインクリメント採取用スコップで各区画から1スコップずつ試料を採取して併せて10キログラム以上とし、これを1次試料とする。
(ウ)その他の飼料
1箇所から5キログラム以上の試料を採取して、5個(検査対象飼料の最大粒径が15ミリメートル以上(ぺレットを含む飼料にあってはぺレットの直径10ミリメートル以上)の場合は10個)の親試料とし、アの(ウ)に準じた方法により1次試料を採取する。
ただし、品質が比較的均一であると考えられる場合は、任意の5箇所から1箇所につき500グラム以上の試料を採取し、これらを混合して5キログラム以上とし、これを1次試料とすることができる。
(4)試料の縮分方法
(3)により採取した1次試料を次のとおり縮分して、試験用試料及び保管用試料を調製する。ただし、次に規定する方法と同等の精度が得られる場合は、二分器等を用いて調製することができる。
ア 液状の飼料
1次試料をよく混合した後、適当な容器を用いて縮分し、各500グラム以上1キログラム以下の試験用試料及び保管用試料を調製する。
イ 液状以外の飼料
最大粒径が5ミリメートル以下の1次試料(粒径5ミリメートルを超えるものを粉砕して5ミリメートル以下にした後、混合したものを含む。)の場合は、クラフト紙等の上に移してよく混合した後、16区画に区分し、JIS、No.5のインクリメント採取用スコップで各区画から1スコップずつ試料を採取して、各500グラム以上1キログラム以下の試験用試料及び保管用試料を調製する。
また、最大粒径が5ミリメートル以上の1次試料の場合は、(3)のアの(ウ)に準じた方法によりインクリメント縮分を行い、各750グラム以上1.5キログラム以下の試験用試料及び保管用試料を調製する。
ただし、最大粒径が15ミリメートル以上の1次試料の場合は、1次試料を全量粉砕し、クラフト紙等の上に移してよく混合した後、16区画に区分し、JIS,No.5のインクリメント採取用スコップで各区画から1スコップずつ試料を採取し、それぞれ500グラム以上1キログラム以下の試験用試料及び保管用試料を調製する。
2 飼料添加物
(1)検査対象
検査対象の大きさは、原則として次のとおりとする。なお、1の(1)のただし書は、この場合について準用する。
ア 紙袋で包装した飼料添加物
おおむね5袋以上100袋以下の同一製造荷口とする。
イ 大型輸送容器(内容量が50キログラム以上のものをいう。以下2において同じ。)に詰めた飼料添加物
おおむね2個以上5個以下の同一製造荷口とする。
(2)抽出個数
抽出個数は、原則として次のとおりとする。なお、1の(1)のただし書は、この場合について準用する。
ア 紙袋で包装した飼料添加物
(1)のアによる検査対象から、無作為に次の表に掲げる数の袋を抽出する。
ただし、微生物試験用の場合は、検査対象の大きさにかかわらず3袋とする。
検査対象の大きさ | 抽出袋数 |
---|---|
50袋未満 | 3袋 |
50袋以上 | 4袋 |
イ 大型輸送容器に詰めた飼料添加物
(1)のイによる検査対象から、無作為に2個を抽出する。ただし、微生物試験用の場合は、1個とする。
(3)試料の採取方法
試料の採取方法は、次のとおりとする。ただし、次に規定する方法と同等の精度が得られる場合は、1次試料の採取については、オートサンプラー等を用いることができる。
ア 微生物試験用の飼料添加物
1の(3)のアの(ア)に準ずる。
イ ア以外の飼料添加物であって品質が比較的均一であると考えられる飼料添加物
容器を開き内容物をよくかき混ぜた後、試料採取用スコップで各容器から3スコップ(大型輸送容器に詰めたものにあっては5スコップ)以上の試料をほぼ等量ずつ採取して併せて3キログラム以上とし、これを1次試料とする。
ただし、液状飼料添加物の場合は、1次試料の量を2キログラム以上とする。
ウ ア及びイ以外の飼料添加物であって紙袋で包装したもの
各容器の内容物全量を親試料とし、これをクラフト紙等の上に移して混合した後、12区画以上20区画以下に区分し、JIS、No.5のインクリメント採取用スコップで各区画から1スコップずつ試料を採取するとともに、各親試料から同様に採取した試料を併せて3キログラム以上とし、これを1次試料とする。
エ ア及びイ以外の飼料添加物であって大型輸送容器に詰めたもの
容器ごとに内容物全量をシート等の上に流下又は堆積させ、流下物又は堆積物の任意の2箇所から1箇所につき3キログラム以上の試料を採取し、各箇所から採取した試料を親試料としてウに準じた方法により3キログラム以上とし、これを1次試料とする。
(4)縮分方法
(3)により採取した1次試料を次のとおり縮分して、試験用試料及び保管用試料を調製する。ただし、次に規定する方法と同等の精度が得られる場合は、二分器等を用いて調製することができる。
ア 液状の飼料添加物
1次試料をよく混合した後、適当な容器を用いて縮分し、各250グラム以上500グラム以下の試験用試料及び保管用試料を調製する。
イ 液状以外の飼料添加物
1次試料をクラフト紙等の上に移してよく混合した後、16区画に区分し、JIS、No.3のインクリメント採取用スコップで各区画から1スコップずつ試料を採取して、各250グラム以上500グラム以下の試験用試料及び保管用試料を調製する。
3 その他の飼料等
1又は2の飼料等の収去等の方法が適用できない飼料又は飼料添加物の場合は、1の(1)又は2の(1)の規定に準じて検査対象を定め、1の(2)又は2の(2)の規定に準じて抽出個数等を定め、1の(3)又は2の(3)の規定及び1の(4)又は2の(4)の規定に準じて、できる限り精度の良い方法で、かつ、偏りの生じないよう試験用試料及び保管用試料を調製する。
Ⅱ 試料の保管方法
1 試料を収納するために使用する容器は、清潔で、かつ、防湿性があり密封できるものとする。
2 試料を容器に収納するときは、収去した飼料等に添付されていた表示票等若しくはそれらの写しを封入し、又は当該飼料等の名称その他当該飼料等を特定できる事項を記載した後、密封する。
3 保管用試料を保管用封筒に入れた後、検査場所等所要事項を記入するとともに、検査職員及び立会人が記名及び封印を行う。
ただし、Ⅰの1の(4)のイのただし書により保管試料を調製する場合であって、被検査者又はその役職員その他の関係者が保管用封筒の封印に立ち会えない場合にあっては、検査職員が封印することについて被検査者等の同意を得た上で、検査職員が記名及び封印を行う。
4 試験用試料及び保管用試料は、品質が変化しないように輸送するとともに、冷暗所において保管する。